【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 7(AETC排気デバイス清掃)
シリンダーを清掃する前に排気デバイスを取り外して清掃します。
SUZUKIの2stエンジンに搭載されているAETC(Automatic Exhaust Timing Control)。
AETCはスライド式のバルブによって排気ポートの断面積とポートタイミングを変化させ、中低回転時の乗りやすさと高回転時のパワーを両立させたシステムである。当初は2段可変式のものが登場し、後に3段可変式のAETC-IIに進化した。スライドバルブは中央のバルブに打ち込まれたノックピンによって支持され、1枚ずつ後退して排気ポート上端の高さを可変させる仕組みを採っていた。~wikipediaより~
RCバルブやYPVSで慣れてるもんね~と思いながらマニュアルを見てみます…シリンダーカバーを開けたら4枚目みたいな機構が見えるんだね!
パカッ…ギャーーーー!なんじゃこれ~!カバー内側…なんじゃこれ~!
100年くらい掃除していない換気扇の汚れみたいじゃ!
危険、危険すぎる!!
とは言え、見なかったことにして蓋を閉める訳にもいかず周囲に汚れが飛び散らないように養生しておきます。まずはカバーを綺麗にしよう!ガソリンとオイルの混合物が程よくウェットな状態(^_^.)
ヘラ状のもので汚れを削ぎ取っていきます。大まかに除去した後で例の「塗装はがし剤」を塗布。みるみる溶解してウエスで拭き取ればこの通り!色が沈着していたので磨いて落としてもよかったのですが、構造上ここは常に汚れる場所なので小まめに清掃することを心に誓ってこの状態で清掃終了!
外側はアルミ錆びをリューターのステンブラシで荒削りした後、紙ヤスリ#400で表面を整え、#1500で磨いた後、ピカールで仕上げておきました(写真右側)。
次にデバイス本体の取外し作業へ。
シリンダー右側にあるカバー(上の画像左側)を外すとこれらの部品が取り外せます。(マニュアルでは上から2番目)ボルトの固着はなく素直に外れます。ボルト2本、回転を戻すスプリングとそのワッシャー、プッシュロッド用のブッシュ
部品を外した状態。デバイスと接続されているロッドをこちら側に引き抜くように設計されています。ロッド周辺には汚れが滲んでいます。
シリンダー左側のボルト2箇所を外してロッド受け側の部品を取外します(マニュアルでは上から3番目)。排気ガスがモレないようにOリングが入ってました。要交換かな?
部品を外した状態。ガソリンとオイルの混合物が滲んでいる。
これでロッドをシリンダー右側に抜けば、デバイス本体をシリンダーから抜けるはず!
うっ…抜けねぇ
汚れが原因で抜けないって感じでもなさそうだなぁ。抜けないようにどこかネジ留めされてるのかな?とマニュアルを読んでもサッパリ判りません(~_~;) ちょっと汚れを拭き取って冷静に観察してみる…
これ芋ネジじゃね?
ロッドが貫通している部品もドロドロに汚れていて、その中に芋ネジが埋もれていて判別不可能。正に芋状態だから表面上はわかんね~よ!しかもマニュアルはひと言も芋ネジについて触れてねぇ~ぞ!
この芋ネジ、なかなか手強かった!ヘキサゴンレンチが壊れるかと思いました(-_-;)
芋ネジを外して左側からロッド終端を貫通ドライバーとプラハンでコンコン叩きながら何とかロッドを引き抜くことができました!
次はシリンダーからデバイス本体を引き抜く訳ですが、引き抜けないようカバーされていて、カバーがプラスネジ留めされています。嫌な予感…直感的にこれはヤバいネジだと感じとってショックドライバーを用意しました。こんな時が来ると思って、事前に準備してましたよ(^_^;)
初めて使うショックドライバー。使い方を理解してプラスネジにあてがいプラハンで叩いて緩める!…緩まない! 叩いて緩める!…緩まない!と1つのネジで数回づつトライ&エラーを繰り返して3つとも外せました!1つはナメる寸前までプラス部分が歪みました。
ようやくデバイスを取り出すと…うっ…汚ねぇ~
スライドプレートが3分割になってます。それぞれがスライドして排気ポートの上段位置を可変させる構造になっています。当然、燃焼&不完全燃焼ガスに直接晒される場所なので、固着したカーボンに不完全燃焼ガスがびっしり付いています。
汚れをウエスで拭い、シリンダー内側に近い場所はカーボンが固着していたので、スクレーパーで削り、「塗料はがし剤」を全体に塗布して拭き取り、残った表面の汚れを紙ヤスリ#400で削り、#1500で磨きました。部品は鋳造鉄?鍛造鉄?重量があってズッシリとしています。高温と排圧に耐える強度がある部品なので、紙ヤスリで軽く表面を磨く程度なら部品自体に傷がつくことはありませんでした。
3枚重ねるとこんな感じです。真ん中のプレートにダボ状の突起があり、上下で挟むプレートにはダボ穴が掘られていて、3枚のプレートの稼動域はダボとダボ穴の大きさで決まります。ダボ穴にカーボンオイルが堆積してくると、プレートの稼動域が本来のものと変わってしまいますので、小まめに清掃しないとエンジン全体のコンディションが落ちることになります。
マニュアルが不親切すぎて、初見でメンテナンス作業する人は苦労すると思います。