【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 10(クランクケース加工)
RMX250Sを購入する前にネットで車体の情報をいろいろ調査したところ、クランクベアリングの焼き付きによるトラブルがあるという情報を見ました。使用状況が異なるため正確な原因は特定できないものの、どうやらクランクベアリングへのオイル供給不足が原因の1つかもしれないという。
以前も2stエンジンのバイクに乗っていましたが、クランクベアリングなんか気にしたことがありませんでした(^_^;)
クランクベアリングへのオイル供給経路は、気化したガソリンに含まれる2stオイルがクランクケースに導入され、その一部が写真の矢印の孔を通して供給される仕組みのようです。
同年代の2stオフバイクのクランクケースに設けられた孔はどんな感じになっているかを見てみると…
【HONDA CRM250】
漏斗は小さいが孔の直径が大きく、溝を設けてオイルを集める形状。
【YAMAHA DT200WR】
オイルを受ける面積を確保するような形状。
【YAMAHA DT230LANZA】
左右に3つずつ孔を設けて物理的にオイル流入量を増やす形状。先代エンジンより進化しています。
【Kawasaki KDX250SR】【Kawasaki KDX220】
RMXと並んでクランクベアリングの焼き付きトラブルが多いKDX系のクランクケース。漏斗形状が小さくオイルを集めにくい形状。
※各写真は以下のサイトから転載しています。
- DT230ランツァ DFRスタッフ日記(https://ameblo.jp/dfrstaff/)
- KDX250SR Factory のメカニックブログ(http://blog.livedoor.jp/enjoygved-mecha/)
- KDX220 内燃機加工OUTLINE(http://outline1169.blog57.fc2.com/)
各メーカーを比較してみると、クランクベアリングのトラブルが少ないメーカーはエンジンの設計をするエンジニアが工夫を凝らしているのが判ります。RMXはKDXほどではないけれど、漏斗の大きさが小さくオイルを集めにくい形状だということがわかりました。
ということで、漏斗の形状を大きくするためにクランクケースをリューターで掘削します。エンジンを下ろして加工すれば楽なんですが、無精者の私はフレームにエンジンが載った状態で作業をします。先ずは削ったカスがクランクケースのシャフト側に落ちないよう養生します。
後はリューターでゴリゴリ削っていきますが、立体的な造形のためどこまでどれくらい削ったらいいか全く判りません。リューターがフレームに干渉して削りにくい体制のまま自分自身の感覚を信じて削ります(素直にエンジンを下ろしてから作業すればよかったと激しく後悔)。ある程度の形まで削った後は紙やすりで表面を滑らかにしていきます。
指が太いので、こういった細かな作業をする時には指が細い人が羨ましくなります。片方の加工に2時間を要し、両方で4時間の作業となりました。何れエンジンを下ろして腰下OHをする際にクランクベアリングを打ち直しするでしょうから、その時にもう少し綺麗にやり直しましょう。
削りカスを掃除機で吸い取った後は、Zoilでクランクベアリングの保護。
こいつを…
ここにブシューっとすればベアリングにZoilが直接届きます。
これでクランクケースの加工は終了。腰上部品はオーバーホール済みなので、部品の1つ1つにオイルを挿しながら組み付けていけばエンジンのレストア完了です!
書類なしのバイクでしたが、書類起こし業者さんに委託して書類付きのバイクになりました。本当は乗車定員が1名(元々タンデムステップとか付いてません)ですが、業者さんが申請書類を作成する時に間違ったのでしょう(^_^;)
これを陸運局に持って行けばナンバーを取れるので、公道を走れるようになります!
ちなみに委託した業者さんは「ギャングパーツ」さん。バイク前左右の写真、車台・原動機の石刷りを添付した書類、手数料を送れば直ぐ書類を起こして返送してくれます。手数料より書類付きフレームを買う値段の方が高い場合や、書類付きフレームの玉数が少ない場合に利用してみるのもアリだと思います。www.gangparts.com
「中年男 WRにLEDウインカー導入」
8月19日に奥多摩へ走りにいった時に気づいた右前のウィンカーステーひび割れ。私のWRは2007年式で3年前に中古で購入したもの。保管時にはカバーをかけていますが、それでも紫外線や振動でダメージを受けるため、ゴム材質部分が疲労骨折してしまいました。製造から既に10年以上経過しているので仕方ありませんね。
当日はビニールテープで補強して帰宅しましたが、左前のウィンカーステーもそろそろ寿命だろうと思い、前後左右合わせて4個全部を交換しようと純正部品の価格を調査しました。
合計12,852円…欲しいのはゴム部分のステーだけなんですが、アセンブリごと交換になるのでここまで値段が高くなってしまいます。
この際、LEDウィンカーにしようかな?とAmazonで調べたところ
コチラを見つけました。4個で約4,000円。LEDに置き換えた場合はウィンカーリレーもLED用に付け替えなきゃダメなので…
e-auto-fun バイクライト ICウインカーリレー LED対応 省電力 2ピン ハイフラ防止 バイク 旧車に カスタムパーツ オートバイ 二輪 CF12
- 出版社/メーカー: EAY0X
- メディア: Automotive
- この商品を含むブログを見る
コチラもセットで購入した場合、約4,700円。純正より安くてお財布に優しい!
ポチった翌日に到着!
意外に大きい!1個づつ小包装されていて、それぞれ「右前・左前・右後・左後」袋にラベルが貼られていました。見た目による違いは無いように思うけれど…
交換作業を始めます!
先ずはリレー。左サイドカバーを外すとバッテリーを含む電装系がまとめて詰め込まれています。
クランプされているリレーを外してカプラを外します。LED用のリレーと形状が違います。コチラがLED用のリレー。純正のカプラで接続するのは諦めてリレーに合う平型のギボシ端子でコードを繋ぐしかないですね。カプラに入っているコードをマイナスドライバーで押し出してフリーにします。電工ペンチでギボシ端子を繋ぎます。純正リレーの「B」に入るコードをLEDリレーの「+」表示に挿すようにします。
次にフロント左右の純正ウィンカーを外します。フロントはウィンカーステーの上にライトカウルを留めているネジが左右1つづつありますので、それを外してフロントフェンダーに刺さっている部分を上に引き抜けばライトカウルが外れます。メーター下にハーネスが結束バンドで留められているのでニッパーで切り外して配線をフリーにして、左右のウィンカーから伸びてきている配線を特定します。
端子部分をカバーしているビニールをずらして端子をむき出しにして端子を外します。次にウィンカーを固定するステーの内側に受け部品が付いているので、マイナスドライバーでこじって外します。
パーツリストでは「9」番の硬質樹脂の部品となります。LEDウィンカーを固定する時に再利用しますので破損しないよう注意して下さい。後はウィンカー自体を手でグリグリしながら引き抜けば外れます。ゴム部分が経年劣化で固くボロボロと崩れることもありますが、交換するので気にせず豪快にやって大丈夫です。
純正とLEDの大きさ比較。やはり純正より横の長さが長いですね。
LEDウィンカーをステーに固定するため、先ほど外した「9」番の部品をLEDウィンカーに合わせてみます。「9」番部品の穴が少し小さくて入らない。「9」番部品の穴をヤスリやカッターで拡大するように加工して、LEDウィンカー本体ネジの根元まで入るようにします。
LEDウィンカー、ステー、加工した「9」番部品、付属ナットの順に通してナットを締めていけばステーに固定できます。あとは端子を繋げば完了ですが、純正コードのどちらがバッテリー(プラス)からのコードが判らなかったので通電テストをするまで仮組みの状態にしておきました。また、上記のAmazonで注文した商品には予めオスのギボシ端子が付いていますが、WR純正のギボシより1サイズ小さいためギボシを付け直す必要があります。
次にリア左右のウィンカーを交換します。
リアフェンダーを外すとブレーキランプ(ナンバー灯含む)と左右ウィンカーの合計3本のハーネスがシートフレームにクランプされていますので、クランプをマイナスドライバーで外して各コードをフリーにします。ウィンカーのコードはバッテリー近くまで伸びていますが、LEDウィンカーのコード長だとそこまで這わせる長さがないため、途中でコードを切断してメスのギボシ端子を付けました。
ブレーキランプカバー自体に純正ウィンカーが取り付けられていますので、フロントで作業した手順と同じようにしてウィンカーを固定するステー内側の受け部品(パーツリストでは「19」番の硬質樹脂の部品)を外してからウィンカーを外します。
外した後がコチラ。
配線を繋ぎ直して通電テストを行い、前後左右ウィンカーの点灯を確認してから外した手順を逆に組み付けていけばOKです。通電テスト時にハイフラになったり点灯しなかった場合は、ウィンカーから出ている2本のコードを逆に繋ぎ直してみれば正しく点灯するようになります。
【正面比較 上ノーマル 下LED】
【後面比較 上ノーマル 下LED】
【動作・視認性確認】
クリアレンズタイプにしたので、印象はかなり変わりました。リアビューは純正のLEDブレーキランプと相性がよく見えます。
配線加工も必要だったこともあり、交換に要した時間は3時間です。耐久性の確認はこれからですが、見た目と部品代を考えればコスパ高いという印象です!
「中年男 バイクの日を奥多摩で過ごす」
こんにちは~!
最近、週末といえばRMXのレストアに時間を費やしてきましたが、バイクを弄ってばかりだと林道ライダーということを忘れられそうだ!
ということで、少し前から下調べをしていた奥多摩の林道へ行ってきました。
8月19日(日曜日)819=バイクの日の東京は朝から24℃と過ごしやすい気温です!準備をしていざ出発。
あまり自撮りをしない私ですが、今日は出発前に1枚新しく買ったThorのジャージ。配色はヘルメットとオリジナルストロボカラーのWRにマッチしてると自分では思ってます(^_^;)
第二京浜から山手通りに入って首都高C2経由で中央道へ。八王子ICで降りてあきる野市から奥多摩へアプローチしました。
【林道 真名井線】JR青梅線川井駅の脇から都道202号を北上し、赤久奈山の北側斜面を赤久奈山頂と川乗山頂を結ぶ稜線に向かって上げていくピストン林道。林道基点から締まったダートが続き、カーブ前後と終点近くは舗装されていました。標高が上がるにつれて落石が道に転がっていたり、大きめの石が路面を覆っているためフロントが弾かれて走りづらくなってきます。谷側は垂直に近い崖でガードレールもありませんので無理は禁物です。複数人で突入していても落とすと引き上げできないと思います。
GoogleMapの衛星写真だとマーカーの先に道が続いているのが判ると思います。東京都森林事務所のWEBサイトに記載されている管理林道の通行規制情報では、「起点から4.5km先通行止め(路側崩壊のため)」と表示されていましたが、1箇所だけ法面が2、3メートル谷側に流れていて四輪だと路肩が弱くて厳しそうな場所がありました。
ココが林道の終点となり、この先はシングルトラックとなり登山道になります。Thorジャージの胴部分が赤のためアブに追い掛け回されました。
【林道 入川線】林道真名井線を降りてきて青梅街道を奥多摩湖方面にバイクを走らせると、昭和石材工業所「ダンプ出入口注意」の看板が右側に出ていますので、その看板を右折して北上します。赤久奈山の南側斜面を昭和石材が石を採掘しているので、採掘場所の脇を登っていきます。
ダンプ専用のトンネルの脇を一般車両が通行できる道が付いています。右手に採掘場を見ながら登っていくと林道基点となり、数百メートルのダートとなります。後述しますが砂防堰堤建設のための作業林道ぽっぽいです。林道の終点はけっこう広めの広場になっていて綺麗な水が流れていて、気軽に野営ができそうな場所です。
この場所は砂防堰堤に土砂が堆積してできたもののようですが、草木の生え具合から推察すると頻繁に大量の水や土砂が流れてくる訳ではなさそうです。しかしながら、大雨が降ったあとの数日間は水量も多くて危険なので、状況判断を誤らないよう自己判断でお願いします。
砂防堰堤から下を臨むとこんな感じ。
【林道 梅沢寸庭線】青梅街道を挟んで林道入川線の反対側にある林道で、御岳山の北に位置する大塚山の北斜面を登っていくピストン林道です。林道の脇数メートル下に寸庭川が流れていて、見通しのよい直線ダートとエスケープゾーンが大きめのダートコーナーで作られています。所々にわさび田がありましたので、それなりに農家の人の出入りはあるようです。
終端はこの状況土砂崩れで道が無くなったようにも見えますが、林道を作っている最中と思われます。斜面の木を伐採して道となる部分をクリアにしていっているっぽい。衛星写真を拡大すると、左側に写っているのが梅沢寸庭線、右側に写っているのが梅澤線です。計画ではつながって完抜林道になるっぽいですが、作業が進んでいる様子はなさそうなので開通はいつになるのやら。
林道梅沢寸庭線を折り返して青梅街道に戻り、奥多摩湖方面にバイクを進めて給油。日原街道との交差点を右折して北上します。この地区は渓流釣りのポイントとなっているようで、遊漁券を買わずに釣りをしていないか監視をしてる人がいました。人がひとり通れるようなつり橋「白妙橋」が架かっていたのでバイクを停めて写真を撮りました。吊り橋から下を覗くと、澄んだ水が流れており、水量もあってなかなかの光景でした。
吊り橋から数百メートル北上すると林道の入り口が見えました。ゲートは鎖が巻かれていますが、開けっ放しにしにならないように巻いているだけです。もちろん進入禁止の表示はどこにもありません。
進入禁止より効果がありそうな「ツキノワグマの目撃情報」の張り物…東京とは言え、ここからは危険なエリアです(-_-;)
【林道 日向沢線】残念ながらGoogleMapでは基点の確認しかできません。「川苔山登山口」を林道基点として川乗山頂と日向沢ノ峰頂上を結ぶ稜線に向かって登っていく林道です。林道の全長はそこそこ長いですが、そのほとんどが舗装化されており、ダート部分は林道後半の数キロしかありません。とても残念(-_-;)
東京都側の終点「踊平トンネル」 山奥にあるトンネルとは思えないほど立派なトンネルで、トンネルを抜けた先は埼玉県飯能市になります。昔は名栗方面から伸びてきた林道と接続していたみたいですが…GoogleMapの衛星写真でもわかるぐらい山がえぐられて谷側に斜面ごと流されているのがわかります。規模が大きすぎて復旧の目途立たない・・・というより復旧するつもりは無いみたい。
朝・昼ごはんも食べずに走り続けてトンネル前の広場で14時。そろそろ下山して帰路に着きます。
山を下っているときにイノシシご一家に遭遇!驚かせちゃ悪いとエンジンを切ってそろそろと近づいてみましたが、やはり気配を感じたのかイノシシご一家が写っている右側のほぼ垂直の斜面を登り始めました。イノシシの登坂能力すげぇと関心していると…ウリ坊が捲くれて斜面を転がり落ちてしまいました。驚かせてゴメンなさい <(_ _)>
青梅街道まで戻ってきて、帰路のルートを思案しているとそう言えば「都民の森」ってまだ行ってないってことで奥多摩周遊道路を走って「都民の森」経由で帰ることにしました。到着時刻は15時。本日初めての栄養補給はみたらし団子(1つ1つがデカイ)です!
「都民の森」からの帰路ルートの検索すると、あきるの市経由で中央道の八王子ICで都内を目指すルート。う~む、激しく混みそうだがそれ以外に選択肢はなさそう(^_^;)
「都民の森」から山を下っている時、ふと右フロントのウィンカーがぷらぷらしているのが目に入りました!
経年劣化と単気筒エンジンの振動で疲労骨折したっぽい。コンビニでビニールテープを買って固定しなきゃ落としちゃう!けど、山の中だからコンビがない~(T_T)
山を下ってきてようやくコンビニがあったので補強を済ませました。
その後、渋滞に度々引っ掛かりながら中央道から首都高を乗り継いで無事に帰還しました。無事故無違反無転倒で日帰り奥多摩ソロ林道ツーリング終了!
今日、時間の制約上行けなかったピストン林道は他にも沢山ありますので、次の機会に訪れてみましょう!
【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 9(シリンダー清掃③)
2018年の7月は異常な暑さが連日続いてます。日陰とはいえ、外でレストア作業をやっていると汗が滴り落ちてきます。
吸気ポートはその形状が研磨しづらいので諦め、排気ポートの研磨をしました。【研磨前】
鋳造型の合わせ部分が少し段付きになって縦の筋が見えます。表面もザラザラで、指でなぞるとザラザラの感触が伝わってきます。
段付きの部分はリューターで荒く削って強めの研磨で均し、あとはひたすら紙やすりで表面を整えていきます。排気ポートは指2本を入れるのがギリギリの大きさなため、地道に指先で紙やすりをスリスリする作業以外の方法がなく、思った以上に時間がかかりました。リューターのビットを色々揃えれば、もっと楽に作業できたかもしれません。【研磨後】
指でなぞっても引っ掛かる感じが消え、合わせ部分も気にならなくなりました。2stエンジンは燃焼したガスが排気される負圧によって燃焼前の気化ガスが燃焼室に送り込まれる仕組みであるため、排気ガスの流れをスムーズにすることは吸気系統のチューンナップと同じ効果になります。ポートを拡大した訳ではないので、体感できる効果は得られないと思います…完全に自己満足の世界です(^_^;)
次に表面磨きの続き【研磨中】
やはり表面積が広いことに加えて砂型の凸凹が大きいため、なかなか綺麗に仕上がりません。リューターのビットを削るチカラが強いものに換えてゴリゴリ削ってみたところ、かなりイイ感じになってきました。磨き用のビットに換えて表面を整えて終了。【研磨終了】
クランクケースへ接合させる台座部分は特に表面の凸凹具合が大きいため、ある程度磨いたところで止めておきました。シリンダーヘッドもアルミ光沢が出るまで磨いているので、組み上げた時に腰上だけ異様に綺麗なエンジンに仕上がることでしょう(^_^)b
そろそろ仕上げに近づいてきました。面研をやります!【面研前】
残っていたスタッドボルトをダブルナット方式で抜き、シリンダーヘッドの合わせ面をオイルストーンで面研。 【面研後】
シリンダーヘッド側も面研しているので、新品のガスケットを挟んで規程トルクで締め上げれば圧縮漏れを起こすなんてことは考えにくいです!次はクランクケース側の面研です。ダウエルピンが邪魔ですが、差し替えるのも面倒なのでこのまま作業します。
【面研後】
シリンダー筒を取り巻くポートですが、写真上下右は吸気ポートで気化ガソリンが通り、写真左のポートはウォータージャケットになります。写真では判りにくいですが、ウォータージャケット周辺だけ砂型の粗さが違うので綺麗な面ができているか少し不安です。これは鋳造型を作る工程での個体差だと思います。
シリンダー清掃の全工程が終了したので、消耗部品を付けて組み上げれば腰上OHをしたエンジンの完成です!
きっとエンジン始動できるはず!!
【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 8(シリンダー清掃②)
本格的なシリンダー清掃に取りかかります!
排気デバイスを取り出した後の挿入孔向こうに燃焼室が見える!排気デバイスが収まるオーバル形状と排気デバイスの形状の精度が悪い(隙間が多い)と、ココに排気ガス諸々が流入してくる。逆に精度が高いと僅かな汚れでもデバイス自体が可動しなくなってしまいます。
他にシリンダーに付いているものは無いかな?と見回していると、排気側のメタルガスケットの除去を忘れてました(^_^;)
周辺には排気モレによる2stオイルが夥しく付着しています。恐らく、オフロード走行とエンジンの振動でチャンバー接続ボルトが緩んで排気モレを起こしていたのではないかと推察しています。ネジロック剤が使われている場所なんだけどなぁ…慣らし運転が終わった時に増し締め忘れたかな?
ガスケットは新品のものに交換しますので、シリンダーを傷つけないようマイナスドライバーでガスケットを破壊しながら取り出しました。お役目ご苦労さまでした!
これでシリンダーにはスタッドボルトと圧入されている部品以外に付いているものが無くなりましたので、本格的に清掃をしていきます。まずは何と言っても排気デバイス周辺。複雑な形状に重油のような油汚れが堆積しており、ウエスで拭ったり塗装はがし剤を塗布してみたり根気強く落としていきます。ようやく形状や孔が判別できるようになってきました。設計者もこの場所に排気ガスが流入してくることを想定していたようで、ガスや油のドレン孔が付いています。1箇所目(緑)は排気ポートに貫通しており、負圧で吸い出すことを目的としているように思えます。2箇所目(赤)はドレホースを通してシリンダー外へ。
ここで最初の状態を思い出して欲しい!そう、この堆積をみるとドレン孔は完全に塞がってます。一度塞がってしまうと排出経路がなくなるので堆積スピードが加速し、デバイスを貫通しているシャフトの隙間から左右に漏れてきます。かといってドレン用の孔を太くすると、その孔が2次排気口みたいになってしまうので、小まめに清掃するのが最適解なのかもしれませんね。
排気ポート側は乾いたカーボンの汚れが付着していましたが、層が薄かったため塗装はがし剤を塗布してウエスで拭き取れば素直に汚れが落ちました。排気ポート研磨をやるかやらないか…検討中です(^_^;)
これでひと通り排気経路の清掃は終了。
2stエンジンの吸気経路は、4stと異なりクランクケースからシリンダー内筒の外側にあるポートを通って燃焼室に気化ガスが送られます。2stオイルとガソリンの混合されたガスがポートに付着していたので、塗料はがし剤で溶解させてウエスで拭き取り綺麗にしました。清掃しなくても大して問題にはなりませんが、清掃できる場所だったので徹底的に汚れを落としておきましょう!
吸気ポートの研磨は形状的に難しい。排気ポートより研磨したい。
清掃も最後の工程で外側のアルミ錆び落とし。リューターにステンレスブラシを付け、錆びと油を同時に削り、紙やすり#400で表面を滑らかにしていきます。シリンダーヘッドもそうですが、シリンダーは鋳造で作られていて、砂型にアルミを流し込んで成型しているため、表面がザラザラとした凹凸があります。その凹凸に油や水が付着して錆び・汚れとなっていくため、シリンダー自体を鏡面とまではいかないまでも、汚れが付着しにくい(付着しても落としやすい)ような表面まで研磨してみようと思います。
指で表面をなぞってもザラザラと引っ掛かる部分が少なくなってきたところで日没終了。
腰上部品としては最大の表面積となりますので、作業終了までに時間がかかる見通しです。
【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 7(AETC排気デバイス清掃)
シリンダーを清掃する前に排気デバイスを取り外して清掃します。
SUZUKIの2stエンジンに搭載されているAETC(Automatic Exhaust Timing Control)。
AETCはスライド式のバルブによって排気ポートの断面積とポートタイミングを変化させ、中低回転時の乗りやすさと高回転時のパワーを両立させたシステムである。当初は2段可変式のものが登場し、後に3段可変式のAETC-IIに進化した。スライドバルブは中央のバルブに打ち込まれたノックピンによって支持され、1枚ずつ後退して排気ポート上端の高さを可変させる仕組みを採っていた。~wikipediaより~
RCバルブやYPVSで慣れてるもんね~と思いながらマニュアルを見てみます…シリンダーカバーを開けたら4枚目みたいな機構が見えるんだね!
パカッ…ギャーーーー!なんじゃこれ~!カバー内側…なんじゃこれ~!
100年くらい掃除していない換気扇の汚れみたいじゃ!
危険、危険すぎる!!
とは言え、見なかったことにして蓋を閉める訳にもいかず周囲に汚れが飛び散らないように養生しておきます。まずはカバーを綺麗にしよう!ガソリンとオイルの混合物が程よくウェットな状態(^_^.)
ヘラ状のもので汚れを削ぎ取っていきます。大まかに除去した後で例の「塗装はがし剤」を塗布。みるみる溶解してウエスで拭き取ればこの通り!色が沈着していたので磨いて落としてもよかったのですが、構造上ここは常に汚れる場所なので小まめに清掃することを心に誓ってこの状態で清掃終了!
外側はアルミ錆びをリューターのステンブラシで荒削りした後、紙ヤスリ#400で表面を整え、#1500で磨いた後、ピカールで仕上げておきました(写真右側)。
次にデバイス本体の取外し作業へ。
シリンダー右側にあるカバー(上の画像左側)を外すとこれらの部品が取り外せます。(マニュアルでは上から2番目)ボルトの固着はなく素直に外れます。ボルト2本、回転を戻すスプリングとそのワッシャー、プッシュロッド用のブッシュ
部品を外した状態。デバイスと接続されているロッドをこちら側に引き抜くように設計されています。ロッド周辺には汚れが滲んでいます。
シリンダー左側のボルト2箇所を外してロッド受け側の部品を取外します(マニュアルでは上から3番目)。排気ガスがモレないようにOリングが入ってました。要交換かな?
部品を外した状態。ガソリンとオイルの混合物が滲んでいる。
これでロッドをシリンダー右側に抜けば、デバイス本体をシリンダーから抜けるはず!
うっ…抜けねぇ
汚れが原因で抜けないって感じでもなさそうだなぁ。抜けないようにどこかネジ留めされてるのかな?とマニュアルを読んでもサッパリ判りません(~_~;) ちょっと汚れを拭き取って冷静に観察してみる…
これ芋ネジじゃね?
ロッドが貫通している部品もドロドロに汚れていて、その中に芋ネジが埋もれていて判別不可能。正に芋状態だから表面上はわかんね~よ!しかもマニュアルはひと言も芋ネジについて触れてねぇ~ぞ!
この芋ネジ、なかなか手強かった!ヘキサゴンレンチが壊れるかと思いました(-_-;)
芋ネジを外して左側からロッド終端を貫通ドライバーとプラハンでコンコン叩きながら何とかロッドを引き抜くことができました!
次はシリンダーからデバイス本体を引き抜く訳ですが、引き抜けないようカバーされていて、カバーがプラスネジ留めされています。嫌な予感…直感的にこれはヤバいネジだと感じとってショックドライバーを用意しました。こんな時が来ると思って、事前に準備してましたよ(^_^;)
初めて使うショックドライバー。使い方を理解してプラスネジにあてがいプラハンで叩いて緩める!…緩まない! 叩いて緩める!…緩まない!と1つのネジで数回づつトライ&エラーを繰り返して3つとも外せました!1つはナメる寸前までプラス部分が歪みました。
ようやくデバイスを取り出すと…うっ…汚ねぇ~
スライドプレートが3分割になってます。それぞれがスライドして排気ポートの上段位置を可変させる構造になっています。当然、燃焼&不完全燃焼ガスに直接晒される場所なので、固着したカーボンに不完全燃焼ガスがびっしり付いています。
汚れをウエスで拭い、シリンダー内側に近い場所はカーボンが固着していたので、スクレーパーで削り、「塗料はがし剤」を全体に塗布して拭き取り、残った表面の汚れを紙ヤスリ#400で削り、#1500で磨きました。部品は鋳造鉄?鍛造鉄?重量があってズッシリとしています。高温と排圧に耐える強度がある部品なので、紙ヤスリで軽く表面を磨く程度なら部品自体に傷がつくことはありませんでした。
3枚重ねるとこんな感じです。真ん中のプレートにダボ状の突起があり、上下で挟むプレートにはダボ穴が掘られていて、3枚のプレートの稼動域はダボとダボ穴の大きさで決まります。ダボ穴にカーボンオイルが堆積してくると、プレートの稼動域が本来のものと変わってしまいますので、小まめに清掃しないとエンジン全体のコンディションが落ちることになります。
マニュアルが不親切すぎて、初見でメンテナンス作業する人は苦労すると思います。
【RMX-250S(SJ14A)再生プロジェクト】Part 6(ピストン清掃、シリンダーヘッド面研)
ピストンヘッドには乾いたカーボンがびっちりと堆積していました。2stエンジンではガソリンにオイルを混合して爆発させているため、オイルが燃焼してヘッド部に付着するのですが、定期的に清掃しないとトラブルのもとになります。
一連のレストアでキャブレターや機関内部の清掃に活躍してきた「塗装はがし剤」を塗布してみました。固着したカーボンには塗布後数分経過して柔らかくなったカーボンをウエスで強めに拭う作業を繰り返さないと除去できませんでした(溶解しなかった)。
スクレーパーをお持ちの方であれば、先に表面のカーボンをスクレーパーで削ぎ落としたほうが作業時間は早くなります。
ピストン左右の肉抜き部分やピストンピンを通す孔に未燃焼ガスが堆積しているので、綺麗にするため「塗装はがし剤」の塗布しました。塗布と同時に汚れが溶解し始めましたので、ガソリンやオイルの汚れは分解しやすいようです。
ピストンの裏は…これって燃焼した後のカーボンでは?燃焼後の排気ルートを考えてもピストン裏にこびり付くことってあるかしら?2サイクルエンジンの工程と排気経路を考えても、ピストン裏に付着する原因が判らない。「判らない」ということは、自分が特定できていないトラブルを放置しているみたいで気分的によくない。エンジンの信頼性を上げるために、原因は何なのかをネットで調べてみることにしよう。
極薄くしか堆積していないので、「塗装はがし剤」の塗布で綺麗に落ちました。
2段になっているピストンリングは新品に交換するため、古いリングはこのようにしてピストンリングの溝の清掃に使用します。溝に堆積した油交じりのカーボンに「塗装はがし剤」を塗布するとジェル状になり、それをかき出すために重宝しました。
一連の清掃を終えて綺麗になったピストン。組み付けまで封印です!
続いてシリンダーヘッドの面研
Amazonでオイルストーン(#320削りと#600磨き)、オイルストーン用油を発注していましたが、#320削りの商品が中国発でなかなか到着しなさそうだったので、研磨に時間はかかりますが#600磨き用でシリンダーヘッドの面研を行いました。バイク単気筒だとこの大きさで十分です。
専用のサラサラオイル。
面研する前
スクレーパーで落としきれなかったガスケットの残骸が付着しています。
面研した後(右側のヘコミは金型の精度が悪かったのか鋳造時点のヒケなのか不明)
オイルを付けてシャリシャリとオイルストーンで合わせ面を平らに削っていきます。下へ押さえつけるチカラは必要ありません。オイルストーン自体の平面で合わせ面のデコボコを平らに均していきます。
もともとの精度は高いと思いますが、製造工程を考えれば不均一になってしまう部分も出てしまいます。2stエンジンの圧縮比は4stに比べて低く、面が不均一でガスケットから圧縮もれは発生しにくいですが、やはり平らになっている方がリスクが減るので綺麗に均しておきました。
シリンダーヘッドも組み付けまで封印です!